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Last Update : 2004.5.16

CBC(EDTA-2K)の室温放置によるヘマトクリットの変化

Question 79

 CBC(EDTA-2K)の室温放置によるヘマトクリットの変化はどうなるのでしょうか。

Answer

 血液を室温保存した場合、ヘマトクリット値は経時的に上昇します。この現象は、自動血球分析装置のみならず遠心ヘマトクリット法におきましても認められます。

 現在までに報告されております文献をまとめますと、以下の原因が考えられます。

(1)ATPレベルの低下
 赤血球膜の可変性は細胞内のenergy代謝系、特にATPレベルに依存しております。室温保存の場合、ATPレベルは経時的に低下し、これに伴いDiscocyte→Echinocyte→Echinospherocyteと赤血球の形態変化を起こします。このような形態変化は、MCVやHCTの膨化現象として現れます。一方、冷蔵保存ではATPの減少が緩やかになるためDiscoid shapeを保つことができます。

参考文献 浜口 行雄:採血後の経時変化について,Sysmex Journal 7(2) : 124-132, 1984

(2)pHの低下
 MCVの変動は、転倒撹拌により試験管内の空気と血液との間でガス交換が行われるためpHが上昇し、一時MCV低下を起こします。その後、有機酸の産生によりpHの低下が起こり、赤血球膜を通じてCl-の移動し浸透圧勾配が生じることによりMCVが上昇していきます。

参考文献 佐藤正一:自動血球計算装置THMS-H1におけるMCV変動の原因と対策,衛生検査38(4):457-462,1989

(3)酸素量の低下
 Oxygenation Testを行った結果、酸素を多く含んだ血液ほどMCVは低下するとの実験報告があります。つまり、採血後時間が経過するに従って、血液中の酸素量が少なくなるためMCVは増加するということも原因の一つであると思われます。

参考文献
M.A.Bryner : The spun micro-haematocrit and mean red ell volume are affected by changes in the oxygenation state of red blood cells, Clin. Lab. Haem. 19 : 99-103, 1997
L.Van Hove : Anemia diagnosis, claasification, and monitoring using Cell-Dyn technology reviewed for the new millennium, Lab. Hematol. 6 :93-108, 2000

(シスメックス株式会社 学術部 学術一課 FCM・ゲノムグループ 田中 千晶



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