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Last Update : 2003.2.18

HAMA抗体による妨害反応

Question 57

 免疫血清検査において、しばしばHAMA抗体による妨害反応を観察しますが、この抗体が産生されると考えられる原因がありましたら教えていただけますでしょうか?

 また自己免疫疾患との関連性はあるのでしょうか?

Answer

 HAMA(human anti mouse antibody)は、マウスに対する異好性抗体です。マウスの免疫グロブリンに結合するヒトの免疫グロブリンを言います。正常・異常にかかわらず、抗マウスIgG抗体は数%から数十%のかなり高い頻度で、ヒト血清中に存在することが示されています。

 腫瘍細胞上のエピトープに結合するマウスモノクローナル抗体を用いて、癌細胞を消滅させるための治療を受けた患者血清中に出現した抗体をHAMAと言います。また、日本で広く接種されているワクチンのなかには、日本脳炎ワクチンのようにウィルスに感染発症させたマウスの脳の食塩水乳剤を材料として作られているものもあり、かつては精製が不十分でマウス脳物質の混入が多かった時代もあるとのことです。このようなワクチンが、抗マウス免疫グロブリン抗体の高頻度の出現に関係している可能性が考えられますが、現在まで、日本脳炎ワクチンにより抗マウス抗体が出現したとの報告はありません。

 異好性抗体の偽反応を防ぐには、用いる試薬中に測定系には影響せず異好性抗体に対する親和性が高い異好性阻止試薬を加え、検体中の偽反応物質の反応部位を遮断することによって干渉を除去する方法があります。最近のキット試薬には、マウスモノクローナルIgGをベースにしたHAMAの影響阻止剤が添加されています。しかし、血清中の異好抗体が過剰に存在する場合は、除去試薬の添加がかえって干渉を起こすということもありえます。

 このように、マウスの免疫グロブリンの添加が異好抗体による干渉を必ずしも完全に除去するものではないことは留意しておく必要があります。腫瘍化やウィルス感染が宿主細胞に形質変換を起こさせ、細胞表面にこれまでにない新たな抗原(neoantigen)を発現させた結果、これが異物として認識された抗体が産生されたのではないかと推測される異好抗体(狭義)のなかにはそのような機序で出現するものもあります。この場合が、自己免疫疾患に関連すると思われます。

参考文献1.免疫血清検査における異常現象−その実例と対策−.社団法人 日本臨床衛生検査技師会 免疫血清検査研究班、2002
参考文献2.加野象次郎:異好抗体をめぐって.臨床化学23(suppl 1):175a-1-10、1994
参考文献3.大竹皓子、加野象次郎:免疫学的測定法における干渉.検査と技術 25:207-213、1997

(社団法人 大阪府臨床衛生検査技師会 学術部血清部会 宮野 章



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