Answer
1)術前の止血スクリーニング検査は主に術中の異常出血の有無についての検査と
いうことになり、PT,APTT,Fbgの3項目の実施でいいと思います。
これら3項目は凝固因子が関わる出血性素因の検出に適したスクリーニング
検査といえます。
異常値を示せば各凝固因子や抗体の検索を行えばよいわけです。
全血凝固時間については、いまだ医学教書に記載されていますが測定時間、
手技、感度等を考えると、あえて採用する検査ではないように思いますが…。
2)血小板が関わる出血性素因のスクリーニング検査として、出血時間があります。
出血時間は他の多くの止血検査がin vitro検査であるのに対して数少
ないin vivo検査のひとつです。そのために一次止血機能を生理的に近い
状態で把握できる検査といえますが、再現性や感度、測定方法などに問題があり
ます。
例えば、Ivy法とDuke法とでは成績に乖離が認められたり、Ivy法に
よる出血時間と心疾患の術中出血量の検討で相関が得られなかったいう報告が
あります。
今のところ、出血時間に変るスクリーニング検査はありませんが、このような
問題点を把握しておく必要があると思います。
3)極めて稀ではありますが線溶の異常亢進による出血があり、この場合にはFDP
の測定が必要となります。ただ、FDP測定は予知のためのモニタリングという
よりも経過観察や予後に関わる検査としての意味合いが強いように思われます。
4)以上については出血性素因に対する検査であります。余談ではありますが、過去
に血栓症などの凝固亢進のエピソードを持っておられるPatientの場合は
これら検査項目では把握できないのは言うまでもありません。
アンチトロンビンやプロテインC・S、ループスアンチコアグラントといった血
栓性素因検索のための検査項目が必要となってくるでしょう。
(大阪府立母子保健総合医療センター 今吉 雄三)
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