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Last Update : 2002.09.23

急性ウィルス感染時の免疫グロブリン変化について

Question 42

 免疫グロブリンについて調べています。
 急性のウイルス感染の場合免疫グロブリンはどのような変化があるのでしょうか。
 また、胃腸炎ウイルスの感染(成人重症)の場合には、異常値となるのでしょうか。
 もしくは、詳しい文献があれば、発行元と文献名称を教えてもらえないでしょうか。
 よろしくお願いします。

(匿名)

Answer

 急性のウイルス感染の場合の免疫グロブリンの変化ですが、一般的に最初にIgM抗体産生があり、
のちにIgGが続き、慢性化するとIgAが産生されるとされています。しかし、これは、そのウィルスに
対する特異的な抗体についての話です。

 質問の意味は、特異的な抗体でなく、普通にルーチンで測定されているIgG,IgA,IgMの事を言って
おられると思います。結果的に言って変化があるとは限りません。

 IgG,IgA,IgMの基準範囲は広く、急性のウイルス感染だからといってIgMが基準範囲を越えるとは限
りません。感染前の患者のデータと比べれば少し上昇が認められるかもしれません。

 胃腸炎ウイルスの感染(成人重症)の場合には、異常値となるのかどうかですが、もし、胃腸から
体液が漏出していたら、IgG,IgA,IgM共に低下するでしょう。

 また、そのウィルスに以前かかったことがある場合、消費されるために一時的に低下することも考
えられます。急性期にはIgMが上昇する場合もあるし、変化のない場合もあるでしょう。IgAは外来抗
原の侵入を粘膜という門戸において防御する機能と侵入したものは全身性の拡大を防止するように働
くので、慢性化してIgAのみ上昇する場合もあるし、変化のない場合もあるでしょう。IgGも上昇する
場合もあるし、変化のない場合もあるでしょう。

 さて、現在知られている主な胃腸炎ウィルスは、ロタ、アデノウィルス、ノーウォークウィルス、
サッポロウィルス、アストロウィルスの5種類です(文献:1)。成人ではノーウォークウィルスが
大部分を占めます。診断法は酵素免疫測定法(ELISA)や電子顕微鏡法(EM)やポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)ですが、これらは普通の病院では行っていません。また、特異抗体を測定する試
薬も販売はされていないようです。そのような背景から、質問者は免疫グロブリンで経過を見ようと
考えられたのかもしれません。腹部レントゲンでは、小腸ガス等の異常を認める場合が多く(文献:2)、
その関連で質問されたものと思います。質問に正確に答えられたかどうかわかりませんが、参考にし
て下さい。

<参考文献>
1)中田修二:ロタウィルス・ノーウォークウィルス(SRSV)感染症.小児科臨床
  64:1066-1071、2001.
2)和泉桂子他:1995年末埼玉県南部で流行したノーウォーク関連ウィルスによる急性胃腸炎の臨床的
  検討.臨床とウィルス 27:133-137、1999.

(大阪府立母子保健総合医療センター検査科 宮野 章



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