Last Update 2001.3.9

Q&A Questions & Answers


   CRPの異常高値

Question 19


 
腎不全と急性膵炎の患者で、CRPが62mg/dl(ラテックス凝集法)と異常高値にでました。希釈再検しても値は変わりませんでした。どんな原因が有るのでしょうか? 御教授下さい。

(国立佐賀病院研究検査科   宮崎 秀喜 )


        

Answer

 
 CRPは、代表的な炎症マーカーであり、炎症病巣の存在や病変の強度を反映します。また、種々の急性期蛋白と同様、マクロファージから放出されたサイトカイン(IL-1、IL-6、TNFα)が肝細胞に働いて生合成が制御されます。

  質問の意味から、2通りの事が考えられます。元々腎不全(慢性腎不全)があって急性膵炎になった場合と、急性膵炎の合併症として急性腎不全になった場合です。 慢性腎不全があって急性膵炎になった場合を考えます。CRPの異常高値の考え方は、例えば、お酒の弱い人が毎日お酒を飲んでいるといつの間にか強くなっていますよね。これは、アルコール分解酵素の少なかった人が毎日アルコールを飲むことによって、多く分泌される様になったと考えられます。これと同じ事が、この症例にも言えます。つまり、腎不全を肝細胞は、修復しようと思ってCRPを生合成します。しかしながら修復できないので、毎日多めにCRPを生合成しています。そこに、急性膵炎が起こり、CRPの生合成がさらに高まり、その結果CRPの異常高値が起こった可能性があります。
 

  次ぎは、急性膵炎の合併症として腎不全になった場合です。急性膵炎は、なんらかの機序によって活性化された膵酵素が、間質組織において形成する自己消化が、急性膵炎の本態です。発症初期において考慮すべき合併症は、ショックであり、頻脈、血圧低下、冷汗、チアノーゼ、乏尿、意識障害といったショック症状の出現は、発症後48時間前後に多く、その頻度は、およそ10%です。ショックの発症に関する要因としては、循環血漿量の減少、障害膵やその周辺の浸出液から血中への逸脱した毒性物質あるいは神経反射が重要視されます。循環血漿量の減少などの腎外因子とともに、血中への逸脱した毒性物質、腎血管床における血管内凝固などは、急性腎不全を起こし得ます。急性腎不全の頻度については2から18%と報告されています。
 

  この場合は、炎症病巣が広い範囲に存在し、病変が強いためにCRPの異常高値が起こった可能性があります。


宮野 章 大臨技血清検査部会 責任者)


           
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