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Last Update : 2004.04.26 (First Update : 1999.01.05)

漢方薬と検査データ

Question 5

 漢方薬の服用による検査データーの変動について教えて下さい。特に、生化学項目について御願いします。

Answer

 市中の薬局すべてで強心、体質改善、滋養強壮および便通を良くするなどの効能をうたった「漢方薬」が販売されています(一般的に高価格です)。また、薬剤師がお客の訴えを聞き、独自の処方で調剤する「調剤漢方薬局」も数多く存在しています(さらに高価格です)。その他にアロエやドクダミなどを煎じて服用している人なども非常に多数いると想像されます。

 この様に「漢方薬」は種類が多く、また病院受診患者が診察時に日常服用している漢方薬(健康食品を含む)を医師に告げず、医師もまた漢方薬にほとんど注意をはらっていないため「漢方薬の服用が臨床検査成績におよぼす影響について」は、ほとんど解明されていません。

 ただ、『ガマの油』が世界中で使用されている強心薬『ジゴキシン』の抗原抗体反応による分析において正誤差を与える事、およびグリチルリチンを主成分とする甘草(カンゾウ)と低カリウム血症の2例は解明されており、以下に解説します。

ジゴキシンとガマの油

 薬局で販売されている『救心』や『六神丸』などの強心薬にはすべてガマの油(センソ)が含まれています。ガマの油は主成分がBufalin, Bufotalin, Cinobufalinであり、これらの構造はジゴキシンと非常に良く似ている(当然、強心作用を有しています)ため、分析に用いる抗体がガマの油とも反応して正誤差を与えます(文献)。

 『救心』は日本、台湾、韓国、中国などで広く服用されているため、注意が必要です。また、中華料理である「食用ガエルのスープを飲んだ後にジゴキシン中毒様の症状を呈した例(台湾)」や「精力増強のためにガマの油を服用し、死亡した症例(アメリカ)」なども報告されています。

甘草(カンゾウ)と低カリウム血症

 甘草は『葛根湯(カッコントウ)』など、ほとんど全ての漢方薬の主剤成分です(保険採用されている株式会社 ツムラの生薬にも含まれています)。甘草の主成分はグリチルリチンであり、カリウムの尿中排泄を促進する結果、血中低カリウム血症を呈する場合があります(多数の学会報告)。

(文献)伏見 了,他;臨床病理 43:34-40, 1995

(大阪大学医学部附属病院 手術部 伏見 了



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