〜 VP(Voges-Proskauer)試験〜

大阪府立 呼吸器・アレルギー医療センター 浅田 薫



【目 的】

 Klebsiella ,Enterobacter ,Hafnia などの腸内細菌や腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus ),Listeriaなどの鑑別。


【培地組成】

VP半流動培地(池村・篠川/1965)
 ・ 酵母エキス 1.0g
 ・ カゼインペプトン 7.0g
 ・ ソイペプトン 5.0g
 ・ ブドウ糖 10.0g
 ・ 塩化ナトリウム 5.0g
 ・ 寒天 3.0g
 ・ 精製水    1000ml
 ・ pH7.2

※加温溶解後,pHを調整し,小試験管に3mlずつ分注し121℃15分間滅菌の後,高層に固める。


【検査方法】

 白金線を用いて,コンタミネーションに注意しながら微量釣菌し,穿刺する。37℃で18−24時間培養後,VP試験を行う。
 VP試験には,A液(6%α-ナフトール・アルコール)とB液(クレアチン加40%KOH)を用いる。
 培養後の培地表面に,A液を4滴,B液を2滴滴下し判定を行う。
 判定は数分から15分で明瞭な呈色を示すが,最終判定は1時間で行う。
 ・ 陽性:試験層が赤−深紅色
 ・ 陰性:原色または銅色

【原理】

 ブドウ糖→細菌のEM系へ→ピルビン酸産生→ブチレングリコール発酵→
 アセチルメチルカルビノール(アセトイン)形成
 アセチルメチルカルビノール+KOH+酸素→ジアセチル(赤色)

※α-ナフトール,クレアチンは酸化促進剤として働く。
※Yersiniaは培養温度により,反応が異なるので2本に接種し,22−25℃と37℃で48時間以上培養し判定する。


【VP試験その他の方法】

 ブイヨンを用いる方法:MR-VPブイヨン→微量菌接種→A液B液(激しく混和・斜面位30分)にて反応を見る。

※明らかなピンクまたは赤色を陽性とする。


【参考書籍】

 腸管系病原菌の検査法・第2版:善養寺 浩,坂井千三(共著)
 図解臨床細菌検査・第2版:坂崎利一(編集),田村和満,吉崎悦郎,横沢光博,三木寛二(著)
 栄研マニュアル・第10版:栄研化学株式会社
 製品要覧T・第22版:日水製薬株式会社
 BBL粉末培地:Becton Dickinson Overseas Inc.